「木の建築賞」の歴代の受賞作品です。 最も優れた作品に贈られる「大賞」の受賞作を一覧にしました。 写真(画像)付きです。 この賞は、優れた木造建築を称えるアワードです。 木材を使った建物が対象です。 「NPO 木の建築フォラム」(東京)が主催しています。 2004年に始まりました。 全国を4つの地域に分けて、毎年1つの地域の建築物を対象に選考・表彰します。 4年で全国を一巡するようになっています。 選考結果は毎年1月下旬ごろ発表されます。(三上靖史・住宅鑑定風水インストラクター)
Tweet年度 | 受賞作 | 説明 |
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2017 (対象地域: 近畿、中部) |
「香美町立村岡小学校・幼稚園」
(兵庫県香美町) 写真(1→ 2→ 3→ 4→ 5→ 6→ 7→ 8→ 9→ 10→ 11→ 12→ 13→ 14→ 15→ 16→ 17→ 18→ 19→ 20→ 21→ 22→) 応募者:現代計画研究所(東京・練馬) |
山間部にある小学校と幼稚園の大規模改修。
森林資源の豊富な地域性を生かし、内装などに町内産の木材をふんだんに使った。
建物は1969年の建設。老朽化が進み、耐震性も不十分だったため、2013年度に改修に着手した。整備に当たって、委員会が設置され、住民も参加して改修の方針などを協議した。総工事費は12億1445万円。 詳細(専門家の論評)→ 詳細(兵庫県のHP)→ |
2016
(対象地域: 北海道、東北、新潟) |
「112年前の政府指定の米蔵をリノベーションした蔵「作楽(さくら)」」
(福島県白河市) 写真( 1→ 2→ 3→ 4→ 5→ 6→) 応募者:辺見美津男設計室(福島・白河) |
もともとは、明治時代の米蔵だった。
解体の話が持ち上がっていたところ、
地元の設計会社が自らの事務所として改装し、使うことになった。
1階は子育て支援の場所としても活用するという。
柱や梁、壁は当時のままで、職人技術に触れることができるという。
設計した辺見美津男氏は白河出身。 詳細(ホームページ)→ |
2015
(対象地域: 関東、甲信、静岡) |
「高齢者福祉施設 「ねばねの里」なごみ」
(長野県根羽村) 写真( 1→ 2→ 3→ 4→ 5→ 6→ 7→) 応募者:みすゞ設計(長野・飯田) |
長野県根羽(ねばね)村は、県の最南端にある。
森林率は92%を占め、村民全体が山の持ち主。
村に愛着を持った村民が「自分の家」のように最後まで村内で暮らすことを願ってできた施設だという。
村の木を使うことにこだわり、
カラマツ、タモを構造材から造作材まで村内産材で賄った。
ぬくもりのある豊かな空間を目指したという。 設計は、長野の飯田市のみすゞ設計の代表、松下重雄氏。 詳細(日本建築家協会HP)→ 詳細(HP)→ |
2014 (対象地域: 中国、四国、九州、沖縄) |
「つばめの家」
(山口県) (写真→) 応募者:中園眞人(山口大学教授) |
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2013 (対象地域: 近畿、中部) |
「奈良町宿・紀寺の家」(ならまちやど・きのてらのいえ)=民宿
(奈良市紀寺) 応募者:藤岡龍介(藤岡建築研究室、奈良、施主の父) |
詳細→ |
2012 (対象地域: 北海道、東北、新潟) |
「手のひらに太陽の家」
(宮城県登米市) 応募者:日影良孝建築アトリエ(神奈川県鎌倉市) |
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2011 |
東日本大震災の影響で開催せず | |
2010 (対象地域: 関東、甲信、静岡) |
「県産材100%の「未来を育む木造幼稚園」」
(群馬県高崎市) 応募者:石川恒夫 (群馬県の前橋工科大学大学院の教授) |
詳細→ |
年度 | 受賞作 | 説明 |
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2009 (対象地域: 中国、四国、九州、沖縄) |
「日土(ひづち)小学校保存再生」
(愛媛県八幡浜市) 応募者:和田耕一 (和田建築設計工房) |
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2008 (対象地域: 近畿、中部) |
「道の駅 美濃にわか茶屋」
(岐阜県美濃市) 応募者:辻充孝 (岐阜県立森林文化アカデミー) |
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2007 (対象地域: 北海道、東北、新潟) |
「三川町立東郷小学校」
(山形県三川町) 応募者:菅原英介 (菅原二郎建築設計事務所) |
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2006 (対象地域: 関東、甲信、静岡) |
「まつぶし幼稚園・こどもの森保育園」
(埼玉県松伏町) 応募者:入之内瑛 (建築計画研究所都市梱包工房) |
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2005 (対象地域: 中国、四国、九州、沖縄) |
「土佐山田の舎」
(高知県香美市) 応募者:山本恭弘 (聖建築研究所) |
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2004 (対象地域: 近畿、中部) |
「あけのべドーム」
(兵庫県養父市) 応募者:三竿修一建築研究所 |
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「京都西陣の町家再生~西陣蘖ノ家~と
その構造・防火・温熱環境性能の検証」
(京都市) 応募者:木下孝一 (数寄屋研究所 心傅庵) |
詳細→ |
1998年9月18日、静岡新聞
シックハウス症候群やバリアフリー住宅などがクローズアップされ、家を建てたりリフォームする際に、積極的に住まいについて学ぶ消費者が増えている。自然回帰や健康志向の傾向から木造住宅も見直されているが、情報をどこで手に入れればいいのか悩む人も多い。木材業界が消費者向けに開く勉強会や、静岡県住宅課主催の家づくりセミナーで講師を務め、「木の語り部」としても活躍する影山弥太郎さん(64)に、木材を使用する際の注意点などを聞いた。
影山さんは消費者ニーズに詳しく静岡市内で木材業を営む。「木の語り部」は「木材について消費者が知る機会が少ない」と木材業界がことし全国に30人の一期生を誕生させた。行政主催の住宅説明会などに講師として派遣する。この30年、木に変わる建築資材が出回り「むく」の木の需要が減った。「木造は高額という誤解を解きたい」と影山さんは意気込む。
最近話題のシックハウス症候群は、新建材の接着剤に含まれるホルムアルデヒドなど化学物質により、目の異常や体の変調を来す病気。影山さんによると、一見して「むく」と見えるような素材にも合板は多く、ベニヤ板もホルムアルデヒドの国際基準を超えた商品が多く流通していた。「業者も知らずに使っていた」と、消費者に知識を持つよう訴える。
影山さんが挙げるよい住宅の条件は(1)丈夫で、少なくとも50-60年修理が不必要(2)機能性が高い(3)飽きがこないシンプルなデザイン。「木材は材質や使い方を選べば鉄や石と同様に強い」と話す。
家の土台にはヒノキ、ヒバ、スギの赤味材、米ツガなどがよく使われる。どの素材でも、丸太の中で白太と言われる辺材より、赤味と言われる中心部の芯(しん)材が腐りにくい。水回り場の土台や屋外の門などによい。「土台をヒノキの赤味芯材にすれば防蟻(ぎ)処理もいらず腐らない」と話す。ヒノキの「赤白混じり」は4メートル×12センチが約5000円程度。赤味だけの同量の芯材と比べ差額は約千円で、40坪の家の土台に40本使っても「4万円の差で済む」。
木の長所は、調湿機能が高く外気の熱を室内に伝えにくいこと、遮音や遮光性に優れていること、精神面に与える効果が高いこと。「3メートル×10.5センチの材木は、湿気の多い時と少ない時では差し引き、ビール大瓶半本分の水を吸ったり吐いたりしている。鉄筋でも内装に木材を使えば健康的に暮らせる」と影山さん。
業界が静岡大学の教授の協力を得て調べた実験では、木、鉄、コンクリートでそれぞれできた箱にマウスを飼ったところ、生まれた子の生存率は木が85.1、鉄は41、コンクリートは6.9%だったという。
一方で木は腐る、狂う、燃える欠点がある。影山さんは「木は通気性を考え、空気に当てて使って」と説明する。実際、カラータイルを張るなど密閉させた柱は3年後、中がほとんど腐った。
「狂い」は木を乾燥させて防ぐ。山で切った木材そのままでは含水率170%もあるものもあり、「むく」を床や壁に使う場合は「できれば15%以下の商品を使った方がよい」。
さまざまな効果から「子供部屋の壁に一面は『むく』の厚い板を」と影山さんは提案する。「額を掛けたり棚をつったり、くぎがあれば子供の発想にこたえる。大バケツ一杯程度の湿度調整もできる」。また、傷はつきやすいが床は冷えないようにスギやヒノキを使用すればなおいい、と勧める。
木の表面を加工するなら「調湿機能を妨げる被膜性塗料でなく浸透性塗料を使って。できるだけ木には何も塗らず、堅く絞った布で拭くことがきれいに保つひけつ」と話している。
影山さんら静岡市の業者らでつくる「静岡プレカット協同組合」では、無料で「木と住まいと健康」セミナーを開いている。問い合わせは同組合へ。